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なぜショッピング枠現金化は起きるのか

現金化はクレジットカードの与信枠の中で行われます。クレジットカードには、たいていショッピング枠とキャッシング粋がありますが、現金化を利用するのは、ほぼ確実にキャッシング粋がいっぱいの人です。現金が必要であってキャッシング粋があるなら、金利がそれほど違わないのですからキャッシングすればいいのであって、ショッピング枠を利用する合理性は何もありません。ショッピング枠現金化がどのような仕組みかというと、ネットで通信販売の形をとって有形ほぼ無価値のものを買う形式をとります。その買い物をした商品について現金をキャッシュバックするというものです。

大きな箱の中にビー玉一個とか、何か書いてある紙とか、そういったものを利用することが一般的です。一時ネットオークションのサイトがよく利用されていました。あるとき一万円札を売っているのを見たことがあります。一万円にはマニア垂誕の付加価値のあるものもあるそうですが、そうではないようでした。一万円を一万五〇〇円で売っていて、急ぐ場合は振り込みでもOKとあるのです。最近ではカード会社のギフトカードとか、コンビニで使えるクオカードを売っているのを見たことがあります。どちらも数百円程度上乗せした金額で売っていました。

ある商品には「返品可、入金額の九〇%」とありました。この種の金券類は発行元から買うと定価ですが、街中の金券ショップで買うと定価より数%安いのが常識です。言うまでもなく、ここでいくつか例示したのは、どれもショッピング枠現金化です。では、なぜショッピング枠現金化を利用する人がいるかということですが、キャッシング粋がないのに現金を必要としていて、かつキャッシングで与信を受けることができないからです。もしショッピング枠を利用して買い物をして、それが一〇〇%で買い戻ししてもらえて、それをリボにして返済するのであれば、キャッシングとショッピングの金利差だけショッピング枠を使った方が得です。

ところが現金化で戻してもらえるのは、かなり良心的なところで最大八五%ぐらいですから、買い物をした段階で相当のロスがあります。要するに一〇万円の買い物をして八万五〇〇〇円を手にして一〇万円を払うということなのです。消費者行動は必ずしも合理的ではなく、不合理なことの方が多いものですが、これはあまりにばかげた行動といわざるを得ません。現金化が利用されるのには、もう一つ理由があります。それはショッピングとキャッシングで法規制が異なることです。言うまでもなく貸金業法の総量規制と割賦販売法の支払い可能見込額です。この二つの限度額を低い方に合わせて同じにしてしまえば、現金化を使おうと思ってもできません。

それと現実的にはあまり考えられないことですが、貸金の専業者だけから総量規制いっぱいまで借り入れている債務者がいたとします。その人の情報は貸金業者だけが見ることができて、ショッピングの専業者は見ることができません。この人がショッピング専業者の発行するクレジットカードを持って、ショッピング枠現金化を利用すると、支払い可能見込額まで利用することが可能です。この二つが重なると、おそらく自己破産しか救済方法はないぐらいの債務になるものと思います。かつて個人信用情報の業界タテ割りが多重債務を生んだと批判されましたが、行政のタテ割りは多重債務者を生む可能性をはらんでいるのです。