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与信基準が3Cから数値化

二〇〇八年の法改正で最も大きな変化は、クレジットの与信基準が「クレジットの3C」から数値基準に変わったことです。クレジットが始まってから法改正前までの間、申し込みを断る場合は「当社の総合的判断で」という枕詞が付きましたが、「改正後は法律の定めで」という断り文句になりました。こういった断り文句が可能になったのは、個人信用情報の個人信用情報機関への登録と利用が義務づけられ、クレジットを利用するすべての消費者の個人信用情報が登録されて、申し込みの際など法律が規定するときに利用されるからです。これは物販のクレジットも貸金の分野でも同じです。その結果何が起きたかというと、会社によって多少の違いはあるにせよ、クレジット会社の与信基準はほぼ同一になりました。

会社の大小は関係ありません。つまり、規模の利益が従来以上に強く働くようになったのです。大きなクレジット会社は、法規制の枠の中で与信していればコンプライアンス上も何も問題がなく利益が挙げられるのに対して、中小規模では限られた中で利益の捻出がそれだけ困難になりました。地方の商店街を基盤にした日専連や日商連といった中小小売商団体のクレジット事業が、この法改正によって壊滅的な打撃を受けたことでもそれは明らかです。中小はもっと高い金利で貸せばいいではないか、という疑問が湧くかもしれませんが、金利水準は大手も中小も同じです。

物販クレジットのリボや分割払いの金利は、十分高い水準にありますし、貸金にしても法定金利が物販クレジットとほぼ同水準ですから、高利のヤミ金以外に金利差はないのです。二〇〇七年の貸金業法の改正前までは、物販のリボの金利はどこも一三%前後でしたが、法改正後は、ほぼ一五%に足並みを揃えました。キャッシングの金利が下がったので、その分の収益を物販の物販クレジットに求めたためです。しかしこれだけ低金利の時代に、金利が上がったのは物販のクレジットだけです。

かつては物販のクレジットとキャッシングの金利には二倍以上の差があったのが、貸金業法の改正によって差は一気に締まり、ほとんどの会社は物販クレジット一五%、キャッシング一八%となっています。会社によっては、どちらも一八%というところもあります。市場ベースでほぼ同一の金利で行われている与信について、違う法律で規制する意味はまったくない時代になった、ということができると思います。与信基準が数値化されて個人信用情報機関は完全に、法律が求める個人信用情報のストック機関になりました。一応株式会社の形はとっていますが、役所の指導によって競争が避けられていますから、組織的には国営化して特殊法人にしても違和感はありません。