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新しい規制の形

改正割賦販売法も貸金業法と同じように、自主規制団体の設置について規定しています。自主規制団体を法律で規定することの意義は、本来行政が行うべき業務を自主規制団体が行うことによって、行政の肥大化を防ぐことにあります。ところが、自主規制を法律が定めた団体が行うことによって、過剰な規制が行われ、法律の肥大化が促進される懸念があります。一九六一年の割賦販売法制定を機に設立された割賦制度協議会は、その後社団法人割賦協会となり、さらに名称変更で一九八五年に日本クレジット産業協会となりました。

割賦制度協議会は、時代背景があるとはいうものの、産業育成を目的としていました。監督官庁である経産省が認めないと、協会名は変更できません。協会名を「日本割賦協会」から「日本クレジット産業協会」に変更できたということは、支払い停止の抗弁が導入された翌年の協会名変更ですが、監督官庁もまだ産業育成の使命は忘れていなかったものと思います。ところが「日本クレジット産業協会」は「日本クレジット協会」と協会名を変えて、認定割賦協会となりました。

消費者被害防止法に衣替えした割賦販売法に産業育成の視点はないわけですから、その法律が認定する団体ということで、「産業」は消えてしまったものと思います。認定割賦販売協会の会員は、クレジットカードや個品割賦を行う会員に限りますが、加盟店が行った「利用者等の保護に欠ける行為に関する情報」を得たときは、認定協会に報告することを義務づけられています。この業務は本来行政が行っていたもので、それを認定団体に下ろすということですから、認定団体への報告は行政のスリム化という意味ではおおいに意義がありそうに思えます。

ただし、現実はそうはなりません。例えば、金融庁は旧大蔵省から分離されて監督指導を専門とする役所になりましたが、一九九人年の発足時に四〇〇人だった定員は、現在は三倍以上になっています。経産省で割賦販売法を管轄するのは取引信用課という一つの課でしたが、現在は分掌の振り替え等があったにせよ、消費経済監督課と消費経済政策課の二つに分かれています。人数も増えました。自主規制は、名前のとおり認定団体の会員が自主的に決めたものです。その基になるのは法律です。法律の解釈は、認定団体の仕事ではなく、所管の経産省の仕事です。こういう構図なので、自主規制とはいっても法律を緩めるような解釈は絶対にできません。逆に、厳しく解釈する傾向になりがちです。