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個人情報保護法の影響

個人情報保護法の影響を強く受けているのはわかるのですが、流出するのは番号だけで、それをもって個人を特定することはカード会社以外不可能です。二〇〇五年にアメリカのマスターカードのサードパーティ(業務代行会社)から大量のクレジットカード情報が洗出したことがあります。クレジットカードは世界中で利用されていますから、日本で発行されているカードも影響を受けました。事態を重く見た経産省は、当時の大臣の選挙向けパフォーマンスというきらいがなかったとはいえないと思いますが、通達を出して状況の報告を求めたり以後の対応策の取りまとめなどを業界に指示しました。

おそらくこういったことがあったことも、カードの番号管理が法律に盛り込まれた一因だと思います。しかしカード情報が流出して仮に悪用されたとしても、それはカードホルダー(クレジットカードの保有者)のところに毎月明細が届いているのですから、確認すればカードホルダーが被害に遭うことはありません。現金で買い物をしてお釣りが少なければ、どんな人でも間違いなく文句をいうはずです。クレジットカードの場合は余計な請求があれば、文句をいえば済むのです。

「だから消費者被害は発生しないではないか」と、マスターカードの事件があったころ、経産省の担当官にいったことがあるのですが、返ってきた答えは「明細を見ないで払ったら被害者だろう」でした。かなり唖然としたのですが、残念ながら意見はまったく通らずに、明細を見ないで払った人も被害者として扱わなければならないのです。行きすぎた消費者保護には当然コストがかかります。そのコストを誰が負担するかというと、回りまわって消費者です。

消費者政策全般が同じようなセンスで運営されているように思います。ちなみにカード情報が洗出した場合の対応は、わが国ではカード番号を変更して再発行します。アメリカでも同じように再発行しますが、それは政府からの規制があってのことではありません。そのままにしておくとカード会社のロスにつながるので、カード会社が自発的に行っているものです。カード会社の行動は結果的には同じことになりますが、規制という名目で余計なコストの負担がカード会社はもちろんのこと、消費者にも及んでいるということです。